ITエンジニア転職の準備

転職に必要な書類は企業ごとに多少の違いはありますが、どの企業にエントリーする際にも必ず必要になるのは「履歴書」と「職務経歴書」です。また、外資系の企業などでは英文の履歴書、職務経歴書が必要になる場合もあります。これらは最初に企業が目にするあなたの情報です。内容が優れているのはもちろんですが、書類としての体裁が整っていることも重要なポイントです。

 

履歴書、職務経歴書からはその文章の内容以上に様々なことが読み取れます。それは国語スキル、文章作成スキル、一般常識等ですので、内容を充実させるのも大切ですが、それ以上に書類として完成度が高いことが求められます。誤字・脱字など基本的なことから注意していきましょう。ワープロの漢字変換で間違った漢字を使用してしまうことは良くあります。用法・語法で迷ったら必ず国語辞書を引きましょう。また、類語辞典を使うとボキャブラリーの幅が広がります。また、学歴・職歴の日付の間違いも良く見られます。あらかじめ履歴書を1部作成しておき、毎回それを転記するとケアレスミスを無くすことができます。

 

また「履歴書」、「職務経歴書」を作成する環境にも注意が必要です。メールに添付するなど、データの形での提出を求められる場合もあります。ですので書類作成に使用するソフトも一般的なものを使用します。Wordならば確実にどの企業でも対応しているでしょう。互換性の高いワープロソフトを使用します。また、書類が複数のページに渡る場合は必ずページ番号を割り振りましょう。

転職における履歴書は、あなたの名刺と同じです。企業の採用担当者はまずこの履歴書であなたを判断します。中途採用の応募が多い大手企業の人事は毎日大量の履歴書に目を通します。まずは見てもらうためにも、丁寧に作成しましょう。一昔前は手書きが望ましいとされていましたが、近頃は特にこだわりもないようです。特にIT業界ではパソコンで作成するのが普通です。どちらにせよ、企業の採用担当者に見やすい書類を作成することが大切です。また、履歴書に書いた内容を忘れないためにも、提出前にぜひコピーを取っておきましょう。

 

 

【履歴書の書き方のポイント】

 

●用紙
指定があればそれを使用します。特に指定がなければ自由です。市販のものを使用しても、自分で作成してもかまいません。手書きで書く場合は黒か濃青のボールペンを使います。万年筆でもかまいませんが、先が引っかかりやすいので慣れない人は注意しましょう。間違えた場合でも修正液は使用不可です。改めて別の用紙に書き直しましょう。空欄を作るのも避けましょう。読みにくい漢字や氏名には振り仮名をふります。

 

●学歴・職歴
学歴は中学校卒業からです。高等学校以上は学部と学科、入学・卒業を明記しましょう。省略記号は避けます。職歴は全ての入社歴と退社歴を部署までもれなく記入します。

 

●免許・資格
所持資格は全て記入します。実務経験のあるもの以外を書くのもかまいません。勉強中の資格があれば併せて書きましょう。

 

●志望動機
具体性と説得力をもたせます。自分が企業に貢献できるポイントを記入します。

 

●趣味・特技
ない場合でも空欄のまま提出するのは避けましょう。特別なものでなくてもかまいません。

今までに転職経歴のない人なら、耳慣れない言葉かもしれません。「職務経歴書」とは所属している企業名や部署、役職はもとろんのこと、より具体的に自分はどのような仕事を経験してきたのか、どのようなスキルがあるのかということをアピールするための書類です。SEなどであれば開発言語や開発環境まで具体的に書きます。単なる履歴書では分からない、あなたの詳しい経歴や経験から身につけたスキルを見ることのできる書類です。提出書類の中では最も企業が重視するものなので、丁寧に作成しましょう。職務経歴書も他の書類と同様に、あらかじめコピーを取っておくと良いでしょう。

 

職務経歴書の書き方は2種類あります。「時系列式」の書き方と「キャリア式」の書き方です。一般的に事務職への転職や転職回数が少ない人は「時系列式」。IT業界を含む理系分野への転職や転職回数が多い人は「キャリア式」を用いて職務経歴書を作成すると良いでしょう。また、履歴書と違い職務経歴書には決められた形式がありません。「時系列式」と「キャリア式」で大まかな枠はありますが、自由に自分のスキルをアピールできるます。ですので、エントリー企業に合わせた職務経歴書を作成しましょう。例えば新製品の開発に積極的な企業ならばマーケティングや開発スキルを持つ人材を欲しているはずです。企業研究から企業の欲しがる人材を予想し、それにマッチする経歴を目立つように職務経歴書に書き込みます。

「キャリア式」とは過去の経歴をキャリアごとにまとめる書き方です。経歴全体を見渡しやすいのが特徴です。同じ業務経験であれば、部署が違っていても、一つにまとめることが可能です。また、複数の企業で同じ職務経歴書を使いまわすのはやめましょう。エントリー企業に合わせた自己PRを職務経歴書に再現しましょう。

 

 

【職務経歴書の書き方のポイント】

 

●用紙
A4の用紙1枚から2枚に収めます。必要な情報を漏らさず書きつつ、簡潔にすっきりまとめるのがコツです。作成は基本的にパソコンで行ないます。決まった形式はないので、読みやすい文書になるように体裁を工夫しましょう。作成はパソコンでも署名のみ手書きで記入しましょう。

 

●書き方
@在籍した会社について記入します。上場か未上場か、業種、従業員数などをそれぞれ書きます。正確な情報、数値を会社案内や会社WEBサイトを見ながら記入していきましょう。

 

A参加したプロジェクト、関った仕事ごとに整理します。プロジェクトでは期間(開始日、終了日)やプロジェクトの内容、そのプロジェクトで得た業務知識やスキル、ITエンジニアであれば開発環境(使用した言語・ソフト・OS・使用機種など具体的に)、参加人数、自分の役割、実績も記入しましょう。実績は客観的なデータや数値を用いて具体的に記入します。

 

B資格、免許などキャリアに関するものは全て忘れずに記入しましょう。応募先企業、職種に関係のないものでもかまいません。取得日と併せて時系列順に並べます。取得に向けて勉強しているものがあれば、その旨と一緒に書き込んでかまいません。あなたの熱意をアピールしましょう。資格・免許はまとめて最後に記入します。また、社会人研修や自己啓発セミナーなどに参加経験があれば積極的に記入しましょう。

 

C最後に署名を書きます。これはかならず黒のボールペンで手書きでして下さい。

人事が読みたいのは経歴に魅力があるのはもちろんですが、読みやすい職務経歴書です。大企業の採用担当者は、毎日大量の職務経歴書などの応募書類に目を通します。しかし、その全てをじっくり読むわけではありません。職務経歴書に目を通し、じっくり読むか見送るか決めるまで、およそ「4秒」だそうです。どんなに凄い経歴をもっていても、読みにくい職務経歴書では目も通してもらえません。職務経歴書は要旨を簡潔にまとめ、一番伝えたい「アピールポイント」を強調して書きましょう。

 

 

【職務経歴書のポイント】

 

@その企業にとって欲しいスキル・人材であることをアピールしている。
Aアピールポイントがひと目で分かる。
B参加したプロジェクトごとに使用した環境・言語・内容が明確に書かれている。
C実績等は具体的に、また数字を用いて客観的に表現している。
D企業に対する熱意が分かる。
E口語口調を避け、個条書きでいい切り型にしている。
F罫線や文字の大きさ、文章の配置をなどレイアウトを工夫し、効果的に自己PRしている。

 

 

大切なのは読み手を意識することです。独りよがりの職務経歴書になってはいけません。作成した書類は1度人に見てもらうとよいでしょう。転職エージェントを利用しているならキャリアコンサルタントに添削してもらいましょう。専門外の人が読んでも分かるように慣用表現や社内用語、略語は避けましょう。また、企業へのアピールを念頭に置くあまり、内容がに履歴書と矛盾する点が出てはいけません。職務経歴書はコピーをとっておき、面接の前には見直しておきましょう。もちろん面接で職務経歴書の内容と話しに矛盾が出てはいけません。