IT企業が欲しい人材

気になるIT業界の転職動向ですが、他の業界と同様に深刻な人材不足が続いています。中でもIT業界は企業が積極的に人材補充を行っているので、「売り手市場」だと言えるでしょう。金融業界・医療業界などの多くの業界でIT設備投資は今後も積極的に行われますので、情報システム分野はさらに人材不足が深刻化しています。また、新技術の開発や各業界のトレンドの変化、法の改正などシステムの見直しは今後も断続的に予想されます。ですので、IT業界にエンジニアが溢れ、飽和することはないでしょう。

 

しかし、IT企業が転職者に望むのは「即戦力」だという事実に変化はありません。インフラの構築経験があるエンジニア、経営・経理の知識を併せ持つエンジニアなど、幅広い知識を持つエンジニアが望まれます。また、近年活発になっている携帯電話やPDAなどのモバイルテクノロジーを持つエンジニアも需要が高まっています。また、これは例年の傾向ですが、中途採用は1年を通して行っていますが、中でも12月から翌年3月にかけては他の時期に比べて求人案件・転職希望者ともに増加します。ですので、この時期に転職することは、転職希望者にとっては多くの企業から転職先を選べ、企業にとっても多くの転職希望者から自社に合う人材を選ぶことができるメリットがあります。求人案件自体は多いのですが、転職希望者も多いため、乗り遅れないように早くから転職活動を始めることが重要です。

IT業界において企業に求められる人材はどのような人材なのでしょうか。IT業界は他業界に比べると少し特殊な業界になります。他の業界との連携が強い業界ですので、ITに関する技術知識だけではなく連携する業界の知識やコミュニケーション力も必要になります。

 

 

【IT企業に求められる人材】

 

●IT業界の専門的な深い知識をもっている人材
IT業界は内部でも互いに連携しています。自分の専門分野だけではなく、同じ業界の他の専門分野に対してもある程度知識を持っている必要があります。

 

●IT業界以外でもある程度専門的な知識を持っている人材
金融や医療などを扱う業界のシステムを受注・ソリューション提案することもあります。ですので、IT分野だけでなく、あるていど顧客の業界の知識も営業やコンサルティングの際に必要になります。

 

●IT業界に関する専門的技術をもっている人材
いくらすばらしい知識・資格を所有していても、実際に使用できなくては意味がありません。IT技術は細分化傾向にあります。その中で、これならば絶対に負けないという専門分野を持ちましょう。

 

●コミュニケーション能力を持つ人材
IT技術だけではなく、折衝能力もIT業界では必要です。特に営業やSEは顧客の良き相談相手になる必要がありますので、コミュニケーション能力は欠かせません。これらは本などでは身につきません。顧客相手でなくても、家族や同僚などの身近な相手とコミュニケーションを取る時に少し意識してみましょう。

 

●リーダシップを持つ人材
指示されたことを完璧に実行できるのは社会人として当たり前です。逆に適材適所を守った指示や、周囲の人を引っ張る力を持ったリーダーを企業は必要としています。

中途採用に必要なのは即戦力になる実力です。しかし、こと転職シーンにおいてはその実力も志望先企業の人事に認めてもらえなければ意味がありません。ですので、自分の実力・スキルを客観的に表すことができる「IT系資格」がモノを言います。しかし、実際に実務経験のない資格では企業の評価も低くなってしまいます。自分の実務経験に関係する資格の中でなおかつ上級の資格取得を目指しましょう。

 

 

【転職にあると有利な資格】

 

●シスコ
シスコはアメリカに本社を置く「シスコシステムズ」が認定しているネットワークエンジニア系の資格です。シスコシステムズ社製品のスペシャリストを認定するための資格です。シスコには6種類の認定試験がありますが、IT業界で重要視されるのはCCNAと最上位のシスコ資格CCIEです。CCNAはネットワーク系の中でもTCP/IPの基礎知識とルーティングやスイッチングの技術を問う内容です。試験時間は1時間で、質問数は55〜65問あります。849点以上で合格で回答はコンピューターを使った選択式になります。1度解いた問題に戻ることはできません。受験料は

 

●オラクルマスター
オラクルマスターとは「日本オラクル」が認定するオラクル社製品に関する資格です。「Oracle Database」、「Oracle Application Server」を用いて管理業務知識、技術知識、アプリケーションサーバーの構築、運用知識などを判定する試験です。認定には4つのレベルがあり下からブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナとなります。特にプラチナの資格取得は難しく評価の高い資格です。また、試験のみでなく、特定の研修を受講する必要があります。 回答は選択式になります。受験は全国で行え、受験料はブロンズ、シルバー、ゴールドが15,750円。プラチナは二日間の実技試験・研修込みで294,000円と非常に高額になります。

 

●マイクロソフト MCSE
「マイクロソフト MCSE」とはマイクロソフトが認定するシステムエンジニアトラックの最上位資格です。マイクロソフト Windows OS・ Server をプラットフォームとするインフラストラクチャの設計、実装スキルを判断する資格になります。試験を受けるにはMicrosoft Windows Server 2003 をプラットフォームとするシステムについて、計画から保守、管理までシステム構築の一連の流れにかかわった経験がある。または、マイクロソフト製品を利用した業務ソリューションについて、計画、実装、分析などの経験があるなどの条件がります。試験時間は160分で受験料は15,750円になります。試験は毎週月曜から土曜日まで、全国の試験会場で受験できます。

SEに対して企業が最も求めるスキルは「コミュニケーションスキル」です。顧客の問題を正確にヒアリングして、システムの設計から構築まで一環して関るSEに「コミュニケーションスキル」は欠かせません。顧客に対して最適なシステムを設計・構築するためには顧客に信頼してもらい、適切なコミュニケーションが取れることが重要です。

 

また、それに付随してシステムの特性を、専門知識を持たない顧客に対して分かりやすく説明する「プレゼンテーションスキル」も必要になります。顧客がシステムに対して同じような専門的知識を持っているとは限りません。ですので、難解な専門用語を使うことなく複雑なシステムの内容を説明する必要があります。そして、顧客にとっても自社にとってもお互い利益を産むようなシステムを提案し、顧客に納得してもらうためには「交渉力」も必要になります。コストや納品日の調整、システムの抱える技術的な問題点があれば、それを説明した上で納得してもらいます。また、システム構築ではプログラマーをまとめる「リーダーシップ」が必要になります。

 

さらにSEにはIT業界・システムに対する幅広い知識も必要です。自社システムに対する知識はもちろんのことですが、顧客にとって最適なシステムの設計のためには顧客の業界・業務に関する一定レベル以上の専門的知識も必要になります。そして、新しい分野のことも積極的に学ぶ学習意欲が高いこともSEには求められます。

「ネットワークエンジニア」は企業の基幹システムを始め、全てのシステムの根幹となる重要な役割です。ネットワーク環境が整わなければ、IT先進国となった日本においてビジネスをすることは不可能です。そのような重要な役割を持つなっとワークエンジニアに企業が求める人材とはどのような人材でしょうか?企業がネットワークエンジニアに求める能力・特性は大きく分けて3つあります。それは、「ネットワークに関する広く深い知識・技術力」、「分析力」、「知識に貪欲な姿勢」です。

 

ネットワークエンジニアにおいて、ネットワークの設定や構築ができるのは前提条件です。それに加えて、個人情報の流出やインターネットウィルス問題に過敏になっている現在、セキュリティの知識・技術も必要になります。ですので、「ネットワークに関する広く深い知識・技術力」をもって様々な問題・事態に対処する能力が必要です。また、「分析力」も大切です。顧客のネットワークに関する問題を適切に掴み、顧客に対して最も適するネットワークソリューションを提案する必要があります。幅広い知識・経験に基づいた「分析力」で顧客の問題解決に当たります。

 

また、「ネットワーク」はIT関係の全ての技術・システムと結びつく技術です。ですので「ネットワーク」に関する知識・技術だけではなく、IT業界の幅広い分野の知識も必要になります。ですので、積極的に他分野の知識も学ぼうとする「知識に貪欲な姿勢」が必要です。

IT設備投資や見直しが進む中、「IT系コンサルタント」の需要は高まっています。その中で企業がITコンサルタントに求めるのはどのような人材なのでしょうか?企業がITコンサルタントに求めているはいくつかありますが、大切なのは「論理的な思考能力」です。顧客の状況や属する業界の現状を冷静に把握、分析し、問題解決の提案をするにはこの「論理的な思考能力」が必要不可欠になります。ですので中途採用ではこの能力を判断するための試験が実施されます。その際にになんの予備知識も与えられないまま、非常に高度な試験問題が課されます。

 

また、「論理的な思考能力」だけでなく精神力も必要になります。ひとつの問題に対してじっくりとあらゆる切り口から問題に取り組みます。また、一定期間である程度の成果をあげないと顧客には満足していただけません。顧客の問題解決はコンサルタントの手に全てゆだねられますので、その精神的な重圧は多大なものになるでしょう。また、「論理的な思考能力」を見に付けるためには観察力やマネジメント能力も必要となります。顧客の問題を素早く把握し、問題点を見つける観察力が必要です。

 

そして、その問題の分析から解決策の提案、プロジェクトの実施までの一連の流れを効率的に進めるのがマネジメント能力です。また、何か新たな問題が発生したときも、それに粘り強く対処できるだけの持続力も必要です。また自社製品を進めるための営業・プレゼンテーション力、顧客との交渉の際にはコミュニケーション力も必要になります。コンサルタントの仕事にはっきりしたベストの答えはありません。しかし、限りないベターの答えから、もっとも効果的な答えを判断する必要があります。

IT業界の「営業」には幅広い能力が求められます。それらはどれが欠けていても営業としての「実績」には結びつきません。営業に必要なスキルは3つあります。それは「コミュニケーションスキル」、「ヒューマンスキル」、「プレゼンテーションスキル」です。なかでも、営業に最も必要なのは、顧客との交渉をスムーズに進めるための「コミュニケーションスキル」です。これがないと交渉はうまく行きません。また、親しみやすく、信頼感のある人物像をアピールし、「この人となら安心して取引を進められる」という安心感を与えてくれるのが「ヒューマンスキル」です。さらに、交渉を上手く進めるためには自社の製品に対して、分かりやすく説明する際に必要なのが、「プレゼンテーションスキル」です。

 

そして、営業には3つのスキルに加えて3つの知識も必要です。それは「自社製品に対する知識」、「顧客の業界に関する知識」、「IT業界の知識」です。顧客に対して効果的なプレゼンテーションを行なうためにはそれを裏付ける知識が必要になります。そこで求められるのが「自社製品に対する知識」です。ですので「SE」や「ソフトウェア開発」の知識や経験もあると営業として重宝されます。また、顧客にシステム勧める際に必要になるのが、「顧客の業界に関する知識」や「IT業界・システムの知識」です。これらの最新動向も常に知っておく必要があります。ですので、知識を得ることに貪欲な人、常に勉強することが苦にならない人が営業に向いています。